
「親知らずは必ず抜くもの」と考えている方もいらっしゃいますが、問題がなければ抜く必要はありません。親知らずは決して不要な歯ではなく、残しておけば、将来、役に立つこともあります。
たとえば、奥歯が抜けたときに入れ歯やブリッジの土台として使うことができますし、歯が抜けた後に親知らずを移植する治療が可能なこともあります。
親知らずを抜くことのメリットとデメリットをよく知っておくことが大切です。
患者さんによって、親知らずの生え方や口の中の環境は異なります。まずは歯科医院で検査などを受けたうえで、親知らずを抜かずに残しておいた場合のメリットとデメリットについて説明を受けてください。
親知らずは真っ直ぐに生えず横向きになって生えたり、歯茎に埋まったままの状態だったりすることが多い歯です。
さらに、下の歯の根元近くには神経が通っているため、抜歯には専門的な設備や技術が必要になることがあります。
このため、当院では的確な抜歯ができるよう次のような取り組みを行っています。
ピエゾサージェリーは、日本ではあまり普及していませんが、超音波振動によって骨などの硬い組織を切る手術器具です。
従来の器具に比べて、切削部分の長さや深さを正確に調整でき、切除部分を最小限にとどめることができます。
また、骨など固い組織以外は切れないようになっているので、歯肉や神経、血管などの組織を必要以上に傷つけてしまうこともありません。それによって、手術による痛みや腫れを抑えられます。
親知らずが生えてくる口の中の奥は、他の箇所に比べて麻酔の効果が現れにくい場所だとされます。
そのために伝達麻酔という方法を、通常の浸潤麻酔に加えて行います。
伝達麻酔では、下顎を通る太い神経に麻酔薬を注射するので、効果は広い範囲に行き渡ります。
これによって、患者さんは痛みをあまり感じずに抜歯を受けることができます。
私たちは妊娠前の女性に親知らずの抜歯を勧めています。なぜなら、妊娠するとホルモンバランスが変化し、親知らずが痛むことがあるからです。
親知らずの痛みは耐えがたく、妊娠中の女性にとっては大きなストレスとなります。とはいえ、抜歯をしようにも、お腹に赤ちゃんがいる状態ではレントゲン撮影のほか、痛み止めや抗生物質の投与には慎重にならざるを得ません。
結局、可能な限り我慢するしかない、ということになってしまいます。
そうした事態を防ぐためにも、妊娠する前に親知らずの抜歯を検討したほうがよいのです。
口腔外科は、あまり馴染みのない診療科かもしれませんが、親知らずの抜歯のほか、顎関節症や口内炎、口の中のけが、歯牙移植といった外科処置が必要な歯や口の症状に対応しています。
歯の痛みだけでなく、顎や口の中の違和感や腫れ、痛みなど、お困りの点がありましたらお気軽にご相談ください。
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。